年末年始の長期山行計画にあたり、5か月後に控えたK2遠征のシミュレーションが重要なテーマであった。昨年の年末年始は、大朝日岳にて、あえて重荷を背負って延々とラッセルトレーニングを行った。今年はできれば体力に加え登攀トレーニングの要素を加えたかった。トレーニングといっても、ある面で本番以上に過酷な環境を求めていた。登攀技術というよりも、山そのものの厳しさ。ギリギリの場面での判断力やメンタルそのものの強さが求められる山。一定日数以上を要し限界まで力を出し切ることが求められるルート。
そうなると、国内での行先は絞られてくる。劔八ツ峰・後立山縦走など候補にあがったが、心惹かれたのが利尻南陵だった。「厳冬期の利尻はヒマラヤに通じるものがある」。と聞いたことがあった。年末年始の記録が少なく、情報収集に苦労したが、まずは心に従い「利尻にいこう」とパートナーの山形・飯澤氏とともに決断した。
様々な先輩から情報収集するにつけ、我々の想像していた以上の厳しさに気が滅入った。中には「凍傷になったらヘリで旭川医大へ。他の病院だと簡単に切られちゃうから」という具体的かつ深刻なアドバイスもあった。
利尻行きを決断してからの約1カ月間は毎日ライブカメラや天気図で現地の情報を確認した。やはり天気は悪い。冬期は晴れて山頂が見えることなどまずない。よほどの気象条件でなければ停滞せず、常に晴れないことを前提に、少しでも視界があれば前進する。その心構えはできた。
2017年12月31日(日)。苫小牧港で飯澤氏を迎え、一路稚内に。稚内までは約400Km。延々と続くオロロンラインを走り、稚内に到着したのは夜9時を回っていた。稚内駅付近にテントを張り翌朝のフェリーを待つ。どうやら欠航はなく、ここまでは予定通りに進みそうだ。島までは1時間40分。フェリーは空いており、装備・食糧の最終確認などを行いつつ、気持ちを整える。だんだんと利尻島が近づいてくるものの山の大部分は雲の中。要塞に乗り込んでいくような心持ちで島に降り立つ。
2018年1月1日(月)8:35 利尻島に到着。予定ではバスかタクシーで鬼脇集落まで向かうはずであったが、あいにく今日は元旦である。バス・タクシーは当然のように休みであった。このあたりはやはり冬の利尻。しかたなく徒歩で鬼脇へ向かう。歩き始めてすぐ「鬼脇18Km」の看板をみる。これも準備運動、と思い直し歩をすすめた。途中すれ違う車もまばらであったが、我々のいで立ちにみな怪訝な顔。島の住民にとってはこの時期に山に登ろうとする人間は変わり者に見えるのだろう。
途中、灯台のオブジェを乗せた自動販売機などに心和まされながら、13:00頃鬼脇の集落に到着。そこからさらに林道をさかのぼる。ラッセルを覚悟したが、意外にも除雪されておりスムーズに距離を稼ぐことができた。標高400M付近が除雪終了点となっており、新しい堰堤の工事が行われていた。
時間は15:30をまわっており、日没間近となっていたため本日の行動はここまでとする。できれば初日で1200Mあたりまで行きたかったが、アプローチのみの1日となった。
厳冬期利尻南陵②
▲稚内港にある白い恋人看板。南陵側からの利尻 |
そうなると、国内での行先は絞られてくる。劔八ツ峰・後立山縦走など候補にあがったが、心惹かれたのが利尻南陵だった。「厳冬期の利尻はヒマラヤに通じるものがある」。と聞いたことがあった。年末年始の記録が少なく、情報収集に苦労したが、まずは心に従い「利尻にいこう」とパートナーの山形・飯澤氏とともに決断した。
様々な先輩から情報収集するにつけ、我々の想像していた以上の厳しさに気が滅入った。中には「凍傷になったらヘリで旭川医大へ。他の病院だと簡単に切られちゃうから」という具体的かつ深刻なアドバイスもあった。
利尻行きを決断してからの約1カ月間は毎日ライブカメラや天気図で現地の情報を確認した。やはり天気は悪い。冬期は晴れて山頂が見えることなどまずない。よほどの気象条件でなければ停滞せず、常に晴れないことを前提に、少しでも視界があれば前進する。その心構えはできた。
▲オロロンラインから日本海に沈む2017年最後の夕日
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▲フェリーから望む要塞のような利尻島。山は雲の中 |
2018年1月1日(月)8:35 利尻島に到着。予定ではバスかタクシーで鬼脇集落まで向かうはずであったが、あいにく今日は元旦である。バス・タクシーは当然のように休みであった。このあたりはやはり冬の利尻。しかたなく徒歩で鬼脇へ向かう。歩き始めてすぐ「鬼脇18Km」の看板をみる。これも準備運動、と思い直し歩をすすめた。途中すれ違う車もまばらであったが、我々のいで立ちにみな怪訝な顔。島の住民にとってはこの時期に山に登ろうとする人間は変わり者に見えるのだろう。
▲灯台を乗せた自販機 |
時間は15:30をまわっており、日没間近となっていたため本日の行動はここまでとする。できれば初日で1200Mあたりまで行きたかったが、アプローチのみの1日となった。
厳冬期利尻南陵②
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